余所者-よそもの-【 2 】
「寝ろ寝ろ」
俺はペットボトルを手に取ってキャップを開けると、カナコちゃんの背中を片手で起こして一口飲ませてやった。
さっき触れたときよりも熱が上がってる気がする。
少し楽しい話をして寝かしつけてやるか。
「シトウに来てすぐの時にさ、サンコンがソッコー露天街で大暴れしてさ――……」
サンコンが馬鹿やった話や、俺がシトウのヤツに絡まれてボコボコにされた話。
AnBarオープンすぐの閑古鳥の鳴いていた頃のユキの下手くそな接客の話。
どうでもいい話を一方的に聞かせてやれば、やっとカナコちゃんの瞼がうとうとと、瞬きの速度を落とし始めた。
俺の話の区切りを見計らって、カナコちゃんが小さな口を開く。
「潤さん、0時になったら起こしてもらえますか?」
「いいよ」
「少し眠って休んだら、AnBarに帰ります」
「わかった」
「このこと、ユキさんには絶対……」
「わかってるわかってる。もう寝ろって」
汗に張り付いた前髪を指で払ってやると、くすぐったそうに目を細めて、そのまま目を閉じた。
やがて、小さく寝息を立て始めたカナコちゃん。