余所者-よそもの-【 2 】
寝室を出て、廊下を突っ切り、俺はリビングのソファに一度どっかりと掛けた。
でも、ユキがリビングと廊下の扉を開きっぱなしにして出てきたから「締めろよな」と注意してから、動かないユキの代わりに結局立ち上がり、リビングの戸を閉める。
間違っても眠ってるカナコちゃんに俺たちの話が聞こえないように。
その配慮は、俺をキリキリと睨み上げるユキには、きっとじれったかった。
「今日、新しい店の大事な契約の日だったんだろ?出てきてよかったのか?」
「潤ちゃん」
「ずっと忙しくしてたろ」
「どういうことだ」
ユキはカナコちゃんの眠る寝室に一番近い廊下の扉の前に突っ立ったまま、明らかに苛立っていた。
俺は痛い視線を全身に受けながらも、ゆっくりとソファに座り直す。
「誰がアイツを傷つけた?」
ユキは努めて冷静を保とうとしているようだったが、焦りと怒りの混じった声はとても隠しきれたもんじゃない。
「誰だと思う?」
電子タバコに専用のスティックをセットしながら、そう言ってからかえば。
ユキがこちらに飛び掛かるようにやってきて、俺の煙草を取り上げた。
その顔を見上げれば、ユキの腹に行先のない怒りが溜まっていることがよくわかる。