余所者-よそもの-【 2 】
「もういいやって面倒になって、あの男の出す条件全部飲んで契約してやろうって思ったら、契約日当日にドタキャンしてきてさ。もう白紙にしてやるって腹立ってたけど……気が変わった」
リンコが私に視線を落とす。
目が合わさると、艶やかな唇が弧を描く。
「いいじゃない。ユキちゃんの創る店(ハコ)」
リンコはその太くて逞しい腕を私の肩に回して、脚を組む。
私を従え、ソファに踏ん反り返った格好になった。
「サンちゃん。ユキちゃんを呼びなさい」
「今すぐにですか?」
「ええ」
ドン、と構えたその姿。
それは男だとか女だとか、そんな性別の垣根を超越して、ただただ『リンコ』という圧倒的な威厳を放っていた。
「――するわ、契約。とっとと大事なモン取りに来いって、そう伝えて」