余所者-よそもの-【 2 】
「ユキさん、ありがとう」
「なに?」
「AnBarがあってよかった」
とん、とん、とん。
とくん、とくん、とくん。
ユキの歩調と、私の胸の鼓動が、静かに会話をしているみたい。
「何かあっても、気付いたら帰ろうってなるんです」
「帰る場所だから」
「そうなんですよね」
本当に、安心する。
「全部、ユキさんのおかげです」
「違うだろ」
「違う?」
「俺は店をつくっただけ」
「………」
「そこをお前が、居場所にした」
……そっか。
私がそうしたのか。
「じゃあ、これからも居ていいですか?」
「なに言ってるの」
「………」
「かぁこはAnBarの従業員だろ」
「うん……」
ずっと、ここに居たい。
このまま、ずっと。
この背中が。
この時間が。
この場所が、私の帰る場所。