余所者-よそもの-【 2 】


私はどうやら、このままユキの家に帰るらしかった。

ユキの背中に揺られながら、静かに流れていく街の景色を眺めていた。


「ユキさん」

「なに?」

「今日、たのしかった」

「そう」


ユキの歩調が、私の胸の音とぴったり重なって、心地いい。


「眠いの?」

「寝ません」

「眠いなら寝たらいいのに」

「もったいないじゃないですか」

「何が?」

「今日が、終わっちゃうから」


ユキの背中が温かい。
安心、する。

ゆっくりと意識が溶けていきそうになる。


「リンコさんのお店、繁盛するといいな」

「するさ。俺がつくったんだから」


ユキのいつもの言い草に、ふふ、と喉を鳴らした。


「リンコさんが来てから、また楽しくなりました」

「飲みが増えたね」

「ユキさんは酔っぱらわないんですか?」

「酔っぱらうよ」

「私も、お酒強くなりたい」

「ならなくていいよ」

「どうしてですか?」


「お前をおぶってやれなくなる」

「………」


私はユキの肩へ、そっと頬を預けた。


< 272 / 306 >

この作品をシェア

pagetop