余所者-よそもの-【 2 】
私はどうやら、このままユキの家に帰るらしかった。
ユキの背中に揺られながら、静かに流れていく街の景色を眺めていた。
「ユキさん」
「なに?」
「今日、たのしかった」
「そう」
ユキの歩調が、私の胸の音とぴったり重なって、心地いい。
「眠いの?」
「寝ません」
「眠いなら寝たらいいのに」
「もったいないじゃないですか」
「何が?」
「今日が、終わっちゃうから」
ユキの背中が温かい。
安心、する。
ゆっくりと意識が溶けていきそうになる。
「リンコさんのお店、繁盛するといいな」
「するさ。俺がつくったんだから」
ユキのいつもの言い草に、ふふ、と喉を鳴らした。
「リンコさんが来てから、また楽しくなりました」
「飲みが増えたね」
「ユキさんは酔っぱらわないんですか?」
「酔っぱらうよ」
「私も、お酒強くなりたい」
「ならなくていいよ」
「どうしてですか?」
「お前をおぶってやれなくなる」
「………」
私はユキの肩へ、そっと頬を預けた。