余所者-よそもの-【 2 】
61話:終着点
――パシャパシャパシャパシャ、と、アスファルトに溜まった雨水が跳ねた。
私は走った。
街の異変は、露天街の入口から始まっている。
アーケードの天井に反響するのは、もはや誰のものかも分からない悲鳴、鈍い破裂音、怒号、泣き声。
ありとあらゆる悲鳴が混じり合って、耳の奥に痛く刺さる。
露天街を抜け、シトウのメインストリートに出ると、
……その惨状に、息を呑んだ。
「………」
雨水に混じった血が、ゆっくりとアスファルトを流れていく。
激しい雨がいくらそれを薄めても。
どこから流れてきたのかわからない赤が、濁った川のようになって街中を染め上げていた。
視界の限りを埋め尽くす、血と暴力。
コンクリートへ何度も叩きつけられる男。
あちこち破壊され強奪される、通りの店舗。
助けを呼ぶ声。
聞こえないふりをして逃げ走る人。
血だらけの誰かを抱いて泣いている女の子。
「………」
私は誰かの流した血を踏みつけながら、それでも前へ進んだ。
割れたガラスを踏むたび、ジャリ、ジャリ、靴底が嫌な音を立てた。
目を背けたくなる惨状の、さらに奥へ。
……奥へ。