余所者-よそもの-【 2 】


進めば進むほど、人の波は膨れ上がった。

悲鳴の数はどんどん増えた。

雨の匂いに混じった鉄の匂いが、より濃くなった。



そうして、辿り着く――終着点。




「……シドッ!!!」




怒りも。

悲しみも。

絶望も。


この街を染めているものは。

全部、あの人から溢れ出たものなんだと思った。


――ワアワア、

――オオオ、


いつものような、喧嘩を眺めるだけのギャラリーじゃない。

シドの周りを取り囲む人たちだって、激しく殴り合っている。


耳を塞ぎたくなるほどの悲鳴と怒号。

私の声なんて、かき消される。


私は一度深く呼吸をした。

拳を固めて、歯を食いしばる。


その、混沌の渦の中心へと飛び込んだ。


シドへの距離を縮めるたびに、四方八方から手や足が飛んでくる。

何度も、人を踏んだ。

頭上から、人の身体だって降ってきた。


身体中に血が飛び跳ねても、すぐに雨が流す。

いくら雨が流しても、また血が跳ねてきた。


身体中が痛い。

けれど、シドの顔を見た瞬間。


そんな痛みは、全部どうでもよくなった。


< 287 / 335 >

この作品をシェア

pagetop