余所者-よそもの-【 2 】
進めば進むほど、人の波は膨れ上がった。
悲鳴の数はどんどん増えた。
雨の匂いに混じった鉄の匂いが、より濃くなった。
そうして、辿り着く――終着点。
「……シドッ!!!」
怒りも。
悲しみも。
絶望も。
この街を染めているものは。
全部、あの人から溢れ出たものなんだと思った。
――ワアワア、
――オオオ、
いつものような、喧嘩を眺めるだけのギャラリーじゃない。
シドの周りを取り囲む人たちだって、激しく殴り合っている。
耳を塞ぎたくなるほどの悲鳴と怒号。
私の声なんて、かき消される。
私は一度深く呼吸をした。
拳を固めて、歯を食いしばる。
その、混沌の渦の中心へと飛び込んだ。
シドへの距離を縮めるたびに、四方八方から手や足が飛んでくる。
何度も、人を踏んだ。
頭上から、人の身体だって降ってきた。
身体中に血が飛び跳ねても、すぐに雨が流す。
いくら雨が流しても、また血が跳ねてきた。
身体中が痛い。
けれど、シドの顔を見た瞬間。
そんな痛みは、全部どうでもよくなった。