余所者-よそもの-【 2 】
「……私と、一緒だったんだ」
シドが私を慰めたのは、私の気持ちがわかるから。
消えない罪悪感が、きっと苦しくて苦しくてたまらないんだ。
私たちはそれ以上、何も言葉にできなかった。
シドは重ねていた手をそっと引いて、私に軽いキスをした。
ゆっくりと唇を離して、お互いに見つめ合う。
「なぁ。俺のところ来いよ」
「……え?」
「瑞生のとこ出ろ。仕事も全部辞めて、ずっと俺の傍にいろ」
唐突すぎる話に、私の心は一瞬で迷子になる。
AnBarを、出る……?
「もう誰にもお前を傷つけさせねぇ」
「でも……」
「俺だってもう傷つけることは二度としねぇ。約束する」
「そうじゃなくて、」
「金に不自由はさせねぇし、住む場所も用意する」
「待って」
ちょっと、待って。
まくしたてるように言葉を紡ぐシドの胸を、私は両手でグッと押した。
「なんだよ」
それだとカエデという彼女はどうなるの?
私とシドの、この言葉の無い関係は何?
いろいろな疑問が頭に過った。
だけど、なによりも。
「ごめん、シド。私……出られない」
「なんでだよ」
「今の場所で、すごくお世話になってるし」
「もともと俺が寄こした世話だ」
「でも、いきなり私が抜けると迷惑かかると思うし」
「じゃあ、いつ出る?」
「いつ……」
ユキや、みんなの元を去る。
……私はもう、あそこに居られなくなる?
そう考えただけで、足元が崩れていくような感覚がした。
それはシドに彼女が居るとか、そんなことより。
何よりも一番、私の心を抉(エグ)った。
「まぁ、急な話だ。前回の負い目もある」
「………」
「今日はいい。考えとけ」