余所者-よそもの-【 2 】
その翌日は、水曜日だった。
――『今度、ハンバーグ作って』
スマホのスケジュールに付けた『ハンバーグ』のメモ。
ユキの自宅に入り、いつものように掃除をこなしていく。
洗濯機を回そうと、散らかったユキの服を集めていると見覚えのあるシャツが廊下に転がっていた。
それは昨日、リンコと並んで歩いていたユキが着ていたシャツだ。
手に取ると、甘いコロンの香りが鼻を掠めた。
リンコの香りだと、すぐに気が付いた。
私の知っているユキの香りじゃない。
あれから、どれだけ長い間を二人で過ごしたんだろう。
どれだけ近い距離で過ごせば、こんなにも香りが移るんだろう。
胸の奥がざらつくような感覚に任せて、私はそのシャツを洗濯機の底へと乱暴に放り込んだ。
いつもより洗剤を多めに入れて、スイッチを押す。
「………」
一通り掃除を終えると、私はキッチンに立ち、ハンバーグを作った。
スマホで調べた裏技レシピを何度も確認しながら、少しでも美味しくなるようにと、時間をかけて、丁寧に、丁寧に形を整えて、焼き上げた。