二人のシャーロック・ホームズ〜山荘の謎を解け!〜
「この曲、私、大好きなんですよ。昇進した夫をお祝いする歌でしょう?」

その言葉に私は首を傾げる。違う。この歌は知らないけど、ハッピーな歌じゃない。そう言おうとした時、誰かのお腹が大きな音を立てる。音とした方を見ると、ワトソン先生が顔を真っ赤にしていた。隣でシャーロックさんが呆れている。

「ジョン。君はこんな時にも食い意地が顔を出すんだな」

「し、仕方ないじゃないか!和香の作ったご飯食べれないままここに連れて来られちゃったんだし……」

エップスさんが腕時計を見て、「もうこんな時間だ。食事の準備をしないと」と部屋を出て行った。私もあとを追う。お手伝いしないと!

「エップスさん。お手伝いしますよ」

「ありがとうございます。お言葉に甘えます」

暗い顔をしていたエップスさんは、一瞬にして笑顔を見せた。私はエプロンを借り、「何を作ればいいですか?」と訊く。エップスさんが「じゃあ、これを……」とくしゃくしゃになった紙をどこからか取り出した。

「えっと……」

くしゃくしゃの紙の正体は、献立表だった。一ヶ月分のメニューが書いてある。デミグラスソースから煮込むビーフシチュー、ラザニア、カニクリームコロッケなど手間暇のかかる料理名がズラリと並んでいる。
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