愛するあなたを殺させないため、死に戻った私はこの恋を捨てると決めた

「旦那様だって、おれとエリシアの仲を認めてくれていた。おれたちは結婚して、ファリノス家を継ぐ予定だったのに。――あいつのせいで、台無しになった」

「え……」

 ザカリアスの言葉がますます理解できなくて、エリシアは混乱のまま目を見開く。ロジェリオとの婚約を喜んでくれていた父が、エリシアとザカリアスを結婚させようと考えるはずがない。

 困惑して何も言えないエリシアの前で、ザカリアスは機嫌よさそうに口を開く。

「去年だったかな、旦那様に声をかけられたんだ。これからもファリノス家を支えてくれって。それって、おれがファリノス家を継ぐという意味だろう? だからおれは、エリシアの夫として家を守るんだって心に誓ったんだよ」

「違う、それは違うわ……! お父様はヴィクトルに家を継がせるつもりで……っ」

 エリシアは激しくかぶりを振る。ザカリアスに父が声をかけていたのは、エリシアもその場にいたから覚えている。

 父はザカリアスに、これからも執事としてよろしく頼むと伝えたに過ぎない。いずれこの家を継ぐヴィクトルを支えてやってほしいと、そういう意味だった。それを、どうしてこんな勘違いをしてしまったのか。

「うん、ヴィクトルも多分エリシアを狙っていたからね。姉弟が結ばれるはずないのに、気持ち悪いやつだよ。あんまり邪魔をするようなら、排除しようかと思ってたくらい」

 あっさりとヴィクトルをも傷つけるような発言をするザカリアスを見て、エリシアの肌は粟立った。
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