愛するあなたを殺させないため、死に戻った私はこの恋を捨てると決めた
 全然集中できないまま終幕を迎え、エリシアは熱心に拍手をするふりをしながら、速くなる鼓動を感じていた。ロジェリオが舞台ではなくエリシアをずっと見ていたせいで、どんな話だったかもほとんど記憶にない。
「エリシア嬢」
 声をかけられて、エリシアはぴくりと肩を震わせる。
「す、素敵な舞台でしたね」
「そうだったのか。俺はずっとエリシア嬢の横顔に見惚れていたから、ほとんど内容を覚えていないんだ」
「……っ、ご冗談を」
「本気だよ。前にも言ったが、きみのことをもっと知りたい。よければ今度の、王家主催の夜会にパートナーとして一緒に出席してくれないか」
「それは」
 エリシアの脳裏に、かつて共に参加した夜会のことがよぎる。
 すでに婚約関係にあった二人は、お互いの色を身につけて夜会に参加した。何曲もダンスを踊り、庭の四阿で初めてのキスをした。
 そんな幸せな未来は、もうどこにもない。このままロジェリオと親しくし続けたら、彼はまた殺されてしまう。
「私……」
「ありがたいお話じゃないか。エリシア、もちろんご一緒させていただくだろう?」
 断ろうとエリシアが口を開いた時、父親がそんなことを言った。まさかこの状況で、エリシアが断るとは夢にも思っていない様子だ。
 エリシアの母も公爵夫妻も、エリシアがうなずくのを笑顔で待っている。
 逃げられないことを痛感して、エリシアは懸命に口角を引き上げた。
「……えぇ、喜んで」
 
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