たとえ世界から「ごめん」が消えたって、



夜香 蘭(やこう らん)とは、大学1年生のときに出逢った。


僕と彼女は同い年で、恋人同士。

一目惚れだったらしい。

サークルの定期飲み会の帰り際、彼女からこっそり打ち明けられた告白。

特に断る理由もないので付き合うことになったが、僕にはもったいないくらい彼女は魅力的だった。


おおらかで、細かいことは気にしないさっぱりした性格で、ナチュラルメイクでも可愛らしい童顔はいつも笑顔を絶やさない。

ちょっぴり天然でたまに無神経な発言をするけれど、裏表のない彼女はちっとも憎めない。

誰からも好かれる、いわゆる愛されキャラであり、彼女の振りまく屈託ない笑みは周りの人たちへ伝染していくから、彼女のいる場所は常に笑顔で溢れていた。


そんな彼女に、ひねくれ者の僕は、どうしたって不釣り合いとしか思えない。



(しゅん)くんっ、痛いよ……」


だから。

めちゃくちゃにしてやりたかった。

傷付いて、悲しんで、ぼろぼろになってしまえばいい。

そうして僕と同じように、壊れてしまえ。



「蘭、蘭、好きだよ、蘭」



甘い空気に酔ったふりをして。

夢中で何も聞こえないふりをして。

痛がる彼女の声を、激しい愛の律動で、かき消してやる。



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