たった一日の恋人役のはずが、敏腕社長の妻になりました
優秀な秘書の素顔
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『わぁー。かっこいい……!』
十歳の頃、母が観ていたドラマに出てくる女性に心を奪われた。
落ち着いた雰囲気のブルーグレーのスーツを身に着けた彼女は、後ろでひとつに結んだロングヘアをなびかせ、空に届きそうなほど高いビルの上層階にある廊下を颯爽と進んでいく。
重厚な扉の前で立ち止まると、ノックをしてから入室した。
都心の高層ビル群が見える大きな窓を背にし、オフィスチェアに座るスーツ姿の男性のもとへ彼女は向かう。そして、今日一日の仕事内容を男性に報告する。
その後も来客対応や会議室のセッティング、資料作成、書類のファイリングなどの業務をそつなくこなす彼女の姿が、十歳の私には輝いて見えた。
彼女の職業は秘書。
会社のトップである社長や役員の業務をサポートする仕事だ。
『決めた! 大きくなったら私も秘書になりたい』
その日、私に夢ができた――。