たった一日の恋人役のはずが、敏腕社長の妻になりました

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 高層タワーが立ち並ぶ日本の中心的エリア。

 その場所に、地上十六階、地下三階の本社を構えるのは、世界でも有数の海運会社のひとつ『成海(なるみ)商船』。

 旧財閥である『成海グループ』の中核企業で、海上を利用した貨物輸送や旅客輸送を行う日本を代表するグローバル企業のひとつだ。

 そんな大企業の総務部秘書課で働く私ーー梅本(うめもと)恵麻(えま)は入社四年目の二十六歳。 

 高校卒業後、周囲には山と畑と民家しかない田舎町にある実家を出て上京し、都内の国立大学の経済学部を卒業後、高倍率の狭き門を突破して成海商船に入社。

 希望が通り、秘書課に配属され、今年の春から社長の専属秘書として働いている。

 子供の頃からの夢を叶えた今、仕事がとても楽しい。

 駅から会社へ向かうまでの道を歩きながら、ビルに映る自分の姿にふと視線を向ける。

 身長は女性にしては高めの百六十五センチ。 

 父親似のくるんと長い睫毛にくっきりとした二重の目、そして母親似のふっくらとした唇に整ったフェイスライン。

 軽くメイクをしただけでも華やかな表情に見えるのは、両親の顔のパーツの良いところどりをしたからだと思う。


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