たった一日の恋人役のはずが、敏腕社長の妻になりました

 視察終了後はタクシーで空港まで向かう。そこから飛行機に乗って東京へ戻る予定だが、その途中で前が見えないほどの大雨と風に襲われた。


「お客さん、この天気だと飛行機飛ばないんじゃないかな」


 大荒れの天気の中を慎重に運転をしながら、タクシーの運転手が後部座席に座る私たちに向かってそう言った。


「確認してみます」


 私はスマートフォンを取り出し、航空会社のホームページを開く。

 運行状況を確認すると、遅延や欠航する便が多く、その中には私たちが乗る予定の便も含まれていた。

 それでもあと少しで空港に着く距離にいるので、一応向かってみる。

 けれど、やはり欠航のようで、今日はもう飛ばないそうだ。


「どうしましょう」


 東京に戻れなくなってしまった。

 空港内で“欠航”と書かれた掲示板を見つめながら、途方に暮れる。

 日帰りの予定なので、もちろんホテルは取っていない。このままだと今夜は空港で過ごすことになってしまう。

 焦る私とは反対に成海社長は冷静だ。 


「仕方ない。ひとまず今夜泊まれる場所を探そう」


 そう言うと成海社長は近くのイスに腰を下ろした。そして、スマートフォンを取り出すと、宿泊できそうな宿を探し始める。


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