たった一日の恋人役のはずが、敏腕社長の妻になりました

 私も成海社長の隣に座り、同じく宿を探す。けれど、なかなか見つからず、どこも満室だ。


「きっと俺たちと同じで、飛行機の欠航により今夜泊まれる場所を探している人が多いんだろうな」


 成海社長がボソッと呟く。


「加えて今日はクリスマスだ。もともと予約が多かったに違いない」

「そうですね」


 そっか、今日はクリスマスなんだ……。

 すっかり忘れていた。

 きっと恋人たちが特別な夜を過ごすためにホテルを取っているのだろう。 

 クリスマスプレゼントが貰えた子供の頃は一ヶ月前からわくわくそわそわしていたけれど、大人になった今は一年間の行事の中でもそれほど重要視はしていない。

 恋人がいれば違うのかもしれないけれど、私にはそういう存在がいないのでやはりクリスマスには特別感がない。


「取れだぞ」


 ふと隣から成海社長の声がした。

 満室ばかりだったが、奇跡的に空きがあったらしい。

 空港に泊まることにならなくてよかった。ひとまず安心だ。

 私たちは空港を出ると、再びタクシーに乗り込む。成海社長が目的のホテルを伝え、タクシーが動き出した。

 雨は止む様子がなく、大荒れの天気だが、なんとか目的のホテルに辿り着く。


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