たった一日の恋人役のはずが、敏腕社長の妻になりました

 テーブルに届いたビールを飲んでいると、食事が届く。

 前菜の盛り合わせから始まり、生ハムのサラダ、アクアパッツァ、そしてピザ。

 どれも美味しく、ビールとの相性もいいのであっという間に飲み終わり、三杯目を頼んだ。成海社長もいいペースで飲み進めている。


「そういえば、梅本とこうして食事をするのは初めてだな」

「そうですね」


 先日、一緒にランチを作って食べたけれど、成海社長と外食をするのは初めてだ。


「玉置さんはよく専務にご馳走してもらうみたいですよ」


 出先へ同行する際、ランチを挟んだ場合はいつもご馳走になるらしい。気前はいいんですよね〜と、玉置さんがよく言っているのを思い出す。

 すると、成海社長がぴたりと食べる手を止めた。


「それは、俺にもっとご馳走してほしいとねだっているのか」

「い、いえ。そんなつもりで言ったわけではなくて……」


 前方から向けられる鋭い視線にビクッとなり、慌てて否定する。

 ふと話題に出しただけだが、成海社長の気分を害してしまっただろうか。

 少しの焦りを感じていると、目の前の彼がふっと笑った。


「冗談だ」


 そう言ってビールを一口飲んだ。

 成海社長でも冗談を言うんだ。

 ホッとして私もビールに口をつける。


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