たった一日の恋人役のはずが、敏腕社長の妻になりました
「先ほどの夕食でも普段はできないようなお話ができて楽しかったし、うれしかったです。成海社長はお酒を飲むと饒舌になるんですね」
「それはきみもそうだろ」
成海社長がくすっと笑った。一呼吸置いてから、ふと口を開く。
「いや、梅本はもともとよく喋る方か。秘書室のメンバーとは笑い合って話をしているし、玉置とは楽しそうに話をしながらよく一緒にランチに出かけているよな」
「ご存知なのですか?」
「ああ。そんなきみの姿をたまに見掛ける。俺にとっての梅本のイメージは物静かで真面目だが、もともとは話好きな明るい子なんだなと思っていた」
成海社長からそんな分析をされていたとは知らなかった。
確かに、私は成海社長の前では秘書モードになるので素の自分を押し込めて業務をしている。
けれど、秘書室で同僚と話すときは本来の自分がたまに出てしまうし、玉置さんとは同僚というよりも友達に近い感覚で接している。
「梅本は、俺の秘書ではない方がいいのかもしれないと思うことがある」
「それは、どうしてですか?」
突然の言葉に動揺してしまう。恐る恐る尋ねると、成海社長がハッとしたような表情になる。