たった一日の恋人役のはずが、敏腕社長の妻になりました

 一緒に暮らしているのだから私生活が筒抜けなのは仕方ない。

 けれど、あまり良いとは言えない一面を見られていたと知り、いたたまれない気持ちになる。


「今コーヒーを淹れてくるから待ってろ」


 成海社長が席を立つので、私は慌てて腰を浮かす。


「それでしたら私が淹れます」

「誘ったのは俺だから気にするな。先にそれ食べてていいぞ」


 成海社長はそう言うと、社長室に備え付けのマシーンで自らコーヒーを淹れてくれる。

 社長にコーヒーを淹れてもらう秘書ってどうなんだろう。

 本来なら私がやるべきことなので申し訳ない気持ちはあるが、成海社長が淹れてくれると言っているのを頑なに断り、自分が淹れるのも違う気がする。

 ここは成海社長の厚意に感謝しよう。


「どうぞ」


 少しして成海社長が二人分のコーヒーを持って戻ってきた。


「ありがとうございます」


 成海社長が淹れてくれたコーヒーを、ありがたく受け取る。私にとってはチョコレートよりも価値のあるものに思えてきた。


「さっそく頂こう。どれにする?」

「そうですね……」


 箱の中には数種類のチョコレートが入っていて、どれも美味しそうで迷ってしまう。

 成海社長はどれを選ぶのだろう。彼が食べたいものと被らないようにしないと。


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