たった一日の恋人役のはずが、敏腕社長の妻になりました
こういう雑談も普段はあまりしない。
いつもと少し違う成海社長に戸惑いはあるものの、ひとりを好む彼が私との会話を広げようとしてくれていることはうれしい。
「お昼は社員食堂でサバの味噌煮を食べました。本当は生姜焼き定食が良かったのですが」
「どうしてそっちにしなかったんだ?」
「それは……」
正直に理由を答えるのが少し恥ずかしく、間を空けてから答える。
「お正月に餅を食べ過ぎてしまい、体重がちょっと……」
太ったとは言わずに濁す。
すると、成海社長がじっと私を見てきた。
「そうか? 変わっていないと思うが」
私が体重の増加を気にしていることに気づいて、優しくフォローしてくれたのだろう。
成海社長に気を使わせてしまった。
体重の話題はやめようと、別の話題を慌てて探す。
「そういえば、社員食堂で霧矢さんとご一緒しました」
「霧矢と? 珍しい組み合わせだな」
部署が違う私と霧矢さんがなぜ一緒にランチを取ったのか成海社長は不思議に思ったのだろう。
「霧矢と何か話をしたのか」
「特に、これと言った話は……」
言いながら思い出していると、成海社長にも伝えた方がいい話題がひとつあったことを思い出す。