たった一日の恋人役のはずが、敏腕社長の妻になりました
「なので、とにかく! 梅本さんはもっと霧矢さんに注意するべきです。あまり言いたくないけど、たぶん霧矢さんは梅本さんにいい印象は持ってないですよ」
……それは、私も思っているけれど。
「霧矢さんはとても頭が切れる女性です。何か手を使って梅本さんから成海社長を奪おうとするもしれません」
「そんなの大げさだよ」
「でも、気を付けるにはこしたことないので」
「は、はい……」
ずいっと顔を寄せ、鬼気迫った様子の玉置さんに対してさすがに私も頷くしかなかった。
ランチを終えて、玉置さんと一緒に秘書室へ戻る。
明日の会議の資料を用意していると、しばらくしてから内線が鳴った。
「はい、梅本です」
「俺だ」
雅貴さんの声だ。
「どうかされましたか?」
「社長室へ来い。今すぐだ」
それだけを言い、内線はぷつんと切れた。その様子と声でわかる。
雅貴さんは機嫌が悪い。
資料作成の途中だが、ノートパソコンを軽く閉じて、私は慌てて立ち上がる。
「社長室に行ってくるね」
隣で仕事をしている玉置さんに告げてから秘書室を飛び出した。
社長室に入ると、執務デスクに座る雅貴さんと目が合う。