たった一日の恋人役のはずが、敏腕社長の妻になりました
その夜、帰宅した私はキッチンに立ち夕食の支度を始めた。
苦手だった料理、それに家事を克服したいと思うようになったからだ。
時間はかかったし、失敗もしてしまったけれど、なんとか二品作ることができた。
チャーハンと、もやしとわかめの中華スープ。
チャーハンはパラパラにできなくて、少しねっちょりしてるし、スープは味が薄いかもしれない。それでも、ひとりで作り上げたことに達成感を覚える。
「ただいま」
リビングの扉が開き、雅貴さんが姿を見せた。
今日は午後一で出先へ向かい、帰社はせずにそのまま自宅へ帰るというスケジュールだ。
私の方が先に帰宅したので、時間をかけて料理をすることができた。
「いい匂いがするな」
ジャケットを脱ぎ、ネクタイを少し緩めた雅貴さんがキッチンにやって来る。そして、驚いたように目を見開いた。
「これ、恵麻が作ったのか?」
「はい。雅貴さんと一緒に食べようと思って」
頷くと、彼は信じられないといった顔で私を見た。
「どうした? まだ熱でもあるのか」
雅貴さんの手が私のおでこに触れる。
「熱はないな」
「雅貴さん、失礼ですよ」
思わずじとっとした目を向けてしまう。