たった一日の恋人役のはずが、敏腕社長の妻になりました
「梅本さんのことは嫌いよ。でも、それ以上に尊敬もしてる。あなたとは就航記念セレモニーの準備で初めて一緒に仕事をしたけれど、誰よりも多くの仕事を引き受けて、ひとつひとつ丁寧に手際よく進めていく様子はさすがだと思ったわ。成海くんがよくあなたのことを頼りになる秘書だと褒めていた理由がよくわかった」
雅貴さんがそんなことを……。
私の知らないところで彼が私を褒めてくれていたと知り、じわっと目に涙が浮かぶ。
そんな私の背中を霧矢さんが撫でるように優しくトンとたたいて触れた。
「今回の件、詳しくは知らないけれど、あなたに悪いところなんてひとつもない。仲良くしていた後輩に裏切られたのは確かにショックだけど、いつまでも引きずらないでもう忘れなさい」
励ましてくれているのだろうか。私を嫌いと言いながら、霧矢さんの表情はとても優しい。
「まぁ、一緒にランチをする相手がいなくなって寂しいなら、今度からは私を誘って。暇だったら付き合ってあげるから」
霧矢さんはそう言うと、再びうどんを食べ始めた。そんな彼女に心の中で感謝する。
きっと私を励ますために隣に座って、一緒にランチを取ってくれたのだろう。
私も食事を再開させる。
今度からは霧矢さんをランチに誘ってみよう。