たった一日の恋人役のはずが、敏腕社長の妻になりました

 料理も家事も彼にはまだまだ及ばないけれど、少しずつ上達していきたい。

 そのあとは順番にお風呂に入り、明日は休日ということもありリビングでテレビを見ながらくつろぐ。

 ふたりで並んでソファに座っているが、隣の雅貴さんを意識してしまい、見ている番組の内容が頭に入ってこない。


「恵麻。久しぶりの仕事はどうだった?」


 ふと問われ、私は彼に視線を向けた。


「問題なく終えました」


 そう答えたあとで、この話題を出してもいいのか迷いながら口を開く。


「玉置さん、辞めたんですね」


 正確には辞めさせられたが正しい。


「そうだな」


 雅貴さんは静かに頷いた。


「あれ以外の処分は考えられない」


 厳しい口調で彼は言う。 

 聞いた話だが、郵送ミスに関わった二社とは今後も取り引きを続けられるそうだ。

 重要情報を他社へ渡してしまった会社とも大きなトラブルにはならなかったとのこと。

 その話を雅貴さんはさらっと伝えてきたけれど、きっと裏で彼が尽力したのだろう。そんなときに風邪で寝込み、秘書として彼のサポートができなかった自分が悔しい。


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