たった一日の恋人役のはずが、敏腕社長の妻になりました
私はのそのそとソファから起き上がり、キッチンへ向かうと、買ってきたお弁当を温める。
ダイニングテーブルでそれを食べていると、お風呂上がりの成海社長がリビングルームに戻ってきた。
シンプルな紺色のルームウェアに着替えた彼は、いつもきれいにセットされている髪が下ろされているせいか普段よりも幼く見える。
初めて見たときはドキッとして思わず目を逸らしたけれど、一週間も経てば慣れてきた。
成海社長は水を一杯飲むと、リビングを後にし、寝室へと向かった。
もう寝たのかと思ったが、バスルームへ向かう途中に彼の寝室の前を通ると隙間から明かりが漏れている。
どうやらまだ起きているらしい。
耳を澄ませてみると、タイピング音が聞こえてくる。仕事をしているのだろう。
成海社長は疲れていないのだろうか……。
今朝は七時に家を出て県外にあるグループ会社の視察へ向かった。
帰社してからは各部署の責任者たちとのランチミーティングがあり、午後も会議が入っていたし、そのあとは決済待ちの書類に目を通していた。さらには仕事を終えてからも取引先の社長と会食があり、帰宅は夜の九時。
少し休めばいいのに、帰ってきてすぐにお風呂に入り、まだ仕事をしている。
ストイックな人だと改めて思う。