たった一日の恋人役のはずが、敏腕社長の妻になりました

「起きろ」


 突然の成海社長の声に驚いて飛び起きる。すると勢い余ってソファから落ちた。


「痛っ」


 打ったお尻をさすりながら顔を上げると、腕を組み私を見下ろす成海社長と目が合う。

 無言だが、彼の言いたいことがひしひしと伝わってきた。

 とっさに正座をして、頭を下げる。


「申し訳ありません。いつの間にか寝てしまいました」


 今は何時だろう。頭を下げたまま、自分の腕時計が見えたので時間を確認すると夜の九時。

 二時間近く寝ていたようだ。


「夕食は取ったのか」


 成海社長に尋ねられ、首を横に振る。


「まだです」


 仕事帰りにスーパーに寄り、値引き弁当を買ってきた。それを食べるつもりだったが、帰宅早々寝てしまったのでまだ食べていない。


「成海社長はお食事は?」

「済ませてきた」


 あ、そっか。今夜は会食だったので、それが終わり戻ってきたのだろう。眠くて頭がぼんやりしている。


「俺は先に風呂に入る」

「はい」


 成海社長は私に背を向けると、ビングルームの扉に向かった。ドアノブに手をかけたところで立ち止まり、くるりと振り返る。


「それと、朝食べたときに使った皿は朝のうちに洗え」


 ぴしゃりと言い残して、成海社長はリビングを後にした。


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