たった一日の恋人役のはずが、敏腕社長の妻になりました
惹かれる心 side雅貴
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『父さん、見て。この前の算数のテストで百点を取ったんだ。国語のテストも』
『すごいじゃないか、雅貴。お前は賢い子だからな』
子供の頃の俺は父に褒められて頭を撫でてもらう瞬間がたまらなく好きだった。
自分の存在を認めてもらえているような気がしたからだ。
だからもっと褒められたくて、勉強もスポーツも習い事も全て全力で取り組み、完璧を求めた。
『それに比べて郁真は困ったものだ。ろくに勉強もせず友達と遊んでばかりで。あいつには成海家の長男としての自覚がないのか』
そう言って父が兄に対してため息をつくたびに、弟の俺の方が優れているのだと思えて自信になった。
けれど、この家でいつも主役になるのは二つ年上の兄・郁真だった。
『すごいじゃないか、郁真。警察から表彰されるなんて経験はそうそうない。さすが成海家の長男だ』
中学生の頃、行方不明届が出されていた迷子の男の子を兄が見つけて保護し、警察署まで連れて行ったことで兄は警察から表彰された。
俺がテストで百点を取ったときよりも喜ぶ父の姿を見て、とても悔しかったことを今でもはっきりと覚えている。