たった一日の恋人役のはずが、敏腕社長の妻になりました
玉置さんから成海社長を取り巻く情報をいろいろと得たランチタイムを終えて、ふたりで秘書室へと戻る。
席に着いたところで「玉置さん」と彼女を呼ぶ声がした。振り向くと、雪白室長がこちらに向かって歩いてくる。
その瞬間、どきっと心臓が跳ねた。
ランチタイムでのことを思い出し、気まずくなった私は思わず雪白室長から視線を逸らしてしまった。
冷静になり、パソコンの電源を入れると仕事を始めた。
けれど、雪白社長と玉置さんの会話が気になり、つい耳を傾けてしまう。
「玉置さん、お昼休憩が終わったら執務室に来てほしいと専務が言っていたわよ。なんだかとても焦った様子だったから、すぐに行ってあげて」
「はい、わかりました」
玉置さんが席を立つ。
どうやら専務からの呼び出しのようで、玉置さんが秘書室を後にする。
「玉置さん、何をやらかしちゃったのかしらね」
ぼそっと呟く雪白室長の声がして、思わず彼女に視線を向ける。それに気付いた雪白室長は今度は私に話しかけるように口を開いた。
「玉置さんの前では焦った様子と言ったけど、本当は少し怒っていたのよ。だから、何かやらかしちゃったのかなと思って」