たった一日の恋人役のはずが、敏腕社長の妻になりました

 こんなことなら専務の頼みとはいえ、会議に同席しなければよかった。

 成海社長の私への評価が下がっていたらどうしよう。

 彼の秘書になってからコツコツと積み上げてきた信頼がぐらりと揺れてしまい、落ち込む。


「予定していた便よりも一本早くなってしまったが、飛行機のチケットはもう取ってある。明後日は出社せず、直接空港に向かう予定だ。急きょ俺の出張に同行することを雪白に伝えておけ」

「はい」


 出張への同行は決定事項らしい。まぁ、私に拒否権はないし、しようとも思わないけれど。


「明後日の福岡は雨予報だから、温かい服装で来い」


 成海社長は親切に当日の天候を教えてくれると、私に背を向けリビングを後にした。


「厚手のコートあったかな」


 マフラーと手袋も必要だ。どこかにあるはずだけど、どこに閉まっただろう。まだ段ボールの中かもしれない。

 明後日までに見つけ出さなければならず、私は急いで自分の部屋へと向かった。




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