たった一日の恋人役のはずが、敏腕社長の妻になりました

 成海社長からの視線に耐えられず、そっと視線を逸らした。


「梅本」

「はい」


 名前を呼ばれて、再び成海社長に視線を戻す。


「明後日の福岡出張だが、一緒に来てくれないか」

「私がですか?」


 突然のことに目を丸くする。

 成海社長は明後日、日帰りで福岡への出張を予定している。

 グループ会社の視察で、普段の出張時のように成海社長がひとりで向かう予定だった。


「あの……なぜ私も?」


 出張への同行を求められたのが初めてで少し混乱している。

 成海社長は一度私から視線を逸らし、小さく息を吐いたあとでぼそっと答える。


「今、きみを社内に置いていくのは心配だからだ」


 ……心配?

 成海社長は私の何を心配しているのだろう。心配されるようなことなんてないと思うのだけれど。

 そのときふと今日の一件を思い出す。

 成海社長の会議中に無断で専務の仕事を手伝ったことを言っているのかもしれない。

 あのときの成海社長、少し機嫌が悪かったからな……。

 出張中に私が自分の仕事を後回しにして、別の人の仕事を手伝わないかを成海社長は心配しているに違いない。


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