アイヴィーの花冠 ~シスコンと恋愛を拗らせた私はこの度、好きな人の屋敷でメイドとして働くことになりました~
 城に着いた私達は王子達の元へと向かう。
 今日も今日とて暇を持て余していた二人はたいそう私を歓迎してくれた。

 そして私を部屋まで連れてきてくれたディートリッヒ様に「ディートリッヒ、いってらっしゃい」と高速で手を振る。二人揃って何か示し合わせたのだろうその姿に、ディートリッヒ様は端正な顔をゆがめる。

 ディートリッヒ様がシンドラー王子相手に眉を寄せているところって初めて見たかも。
 少し眉を下げた困り顔ですら貴重なのに、こんなに全面に感情を出すなんて今日は天候が荒れるのだろうか。

 こんなによく晴れているのに急に雨でも振られたら、洗濯担当のメイドはさぞかし大変な思いをすることになるだろう。かつての同僚の顔を思い出しながら、心の中でドンマイと祈りを捧げる。

 けれどその顔を向けられている張本人達は、ディートリッヒ様とは正反対の笑顔を浮かべている。
 しかも社交用の作ったものではなく、面白い本を見つけた時のような、わくわくと冒険心に溢れた子どもっぽい笑みである。いたずらっ子のようとも言う。

 私がいない間に散々からかわれたと見た。
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