アイヴィーの花冠 ~シスコンと恋愛を拗らせた私はこの度、好きな人の屋敷でメイドとして働くことになりました~
――だが実際は私が心配したようなことは起きなかった。
その代わり、マリー様付きのリアゴールド家のメイド達によって持ち込まれたドレスのデザインを吟味することになったが。
「どう? このデザインはね、今流行のデザイナーに描かせたものでね」
「ウェディングドレスならシンプルな方がいいんじゃないか?」
「わかっていませんね、シンドラー王子。一生に一度だからこそ最高の物を用意したいんじゃありませんか!」
「ならなおさら流行に流されずに似合う物を選ぶべきだろう。なぁ、アイヴィー」
「はぁ……」
からかわれなくて嬉しいが、まさかウェディングドレスのデザインの話し合いの渦中に突っ込まれるとは……。
気合いの入ったマリー様が用意したデザインは全部で20枚にも渡る。
国民への挨拶の最中にドレスを変えたり、貴族相手のお披露目会用は別に作ったりと、何着も披露するにしても限度というものがある。
せめて5着が限界だろう。
「タキシードの方はどうなっているんです?」
「え、あ。そうね。新郎側の衣装も大事よね!」
「それなら確か先代の結婚式の記録が残っているはずだ」