アイヴィーの花冠 ~シスコンと恋愛を拗らせた私はこの度、好きな人の屋敷でメイドとして働くことになりました~
「はい?」
 顔をあげて確認しても、目の前に立つ二人の男性にはやはり見覚えはない。
 服装からして、貴族のお忍びって訳でもなさそうだ。

 だったら私に何の用事だろう?
 道にでも迷ったのだろうか?
 観光客にしては荷物が少ないが……。

 不審に思いつつ「なんでしょう?」と問いかける。
 本心ではもちろん他当たってくれ、と思いながら。

「暇なら俺らとお茶しませんか?」
「へ?」
「そこの店のケーキ、美味しいって噂だから来てみたんだけど、男二人って入りづらいんだよね」

 男の一人が指すのは、女性やカップルが列を作る店だった。
 確かに男性二人で並ぶのはなかなか勇気がいるだろう。だがそこでなぜ見ず知らずの私に声をかけたのだろうか。

「はぁ……」
 これが噂に聞く『ナンパ』というやつだろうか。
 面倒臭くなる前に逃げろってシンディが教えてくれたけど、今まで遭遇したことなかったから忘れてたわ。
 すでに会話を始めてしまっているため、これでは返事する前に無視してダッシュは使えない。

 ここまで話が進んだらどうやって乗り切るべきなのだろう?

「えっと、その……暇ではないので」
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