アイヴィーの花冠 ~シスコンと恋愛を拗らせた私はこの度、好きな人の屋敷でメイドとして働くことになりました~
「友人特典だから気にしなくていいよ。1週間後には出来ているから、都合のいい日に取りに来て」
「ありがとう、セルロト」


29.
 着々とシンドラー王子の誕生日が近づいていく。
 セルロトの教えてくれた一週間はすぎ、香油を引き取りにいった足で手芸屋さんを覗いた。
 見本用になる毛糸を探しにきたのだ。
 同じ物で黄色、オレンジ、緑、茶、白があるのは必須。その他にリボンとなりそうな色がある物を……と店の中を散策する。
 なるべく太くないのがいいのだけど、あるかしら?
 何店舗も周り、ようやく全ての色がある毛糸を見つけたのは3店舗を回った頃。意外と黄色が見つからなかった。マリー様と言ったら黄色いマリーゴールド。玉数を一番必要とする黄色がなければ何も始まらないのだ。

 無事材料も揃い、後はお屋敷に戻って作り始めるだけ。
 花の数は何本にしようかな。
 花束の包み紙に固定しちゃうから、一本取り出したのも作った方がいいかも?
 頑張って編んでいくシンドラー王子を想像して、弾む心で王都の道を歩いていた。
 王都の中心くらいに差し掛かった時、見知らぬ声が少し高い位置から振ってきた。

「お姉さん」
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