アイヴィーの花冠 ~シスコンと恋愛を拗らせた私はこの度、好きな人の屋敷でメイドとして働くことになりました~
 私に出来るのは、頬をわざとらしく膨らませてシンドラー王子とマリー様のお話し相手となることだけだ。

「それはディートリッヒの許可は降りているから大丈夫だ」
「アイヴィー。私、久しぶりにあなたが淹れたお茶が飲みたいわ」
 それと腕を磨いたお茶淹れスキルを彼らに披露することも、私の大事な役目らしい。

「かしこまりました。少々お待ちください」
 こうして私は一ヶ月ぶりとなる、城のキッチンへ足を向けるのだった。

11.
「それでアイヴィー、最近どうなんだ?」
「最近、と言いますと?」
「最近は最近だ。ディートリッヒに聞いてもよく働いてくれてますとしか言わないんだ」
 シンドラー王子はカップをクルクルと回しながら、唇を尖らせる。

 このことに関しては心配してくれている、という訳ではなさそうだ。
 その証拠に王子の隣に座っているマリー様は、何かを期待したような眼差しでこちらを見つめてくる。

 二ヶ月ほど前の「アイヴィーは結婚しないのか」という問いはおそらく、仕事を斡旋することと、城のメイドを止めさせるための言葉だったのだろう。
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