アイヴィーの花冠 ~シスコンと恋愛を拗らせた私はこの度、好きな人の屋敷でメイドとして働くことになりました~
 客人にお友達に恩人――そのどれも私に当てはまるような言葉ではないはずだ。

 それに四大貴族の公爵に紹介なんてそんな、何とも恐れ多い……。
 私、自分でも知らぬ間にそんなにビッグな人間になっていたのだろうか?

 あり得ない。ただただ真面目にお城でメイドとして働いていただけである。考えたところで私にはそんな資格があるとは思えない。
 けれどマリー様は気にした様子はない。
 それが一層、これから公爵にお会いしなければいけない恐怖に似た何かをかきたたせる。

 心なしか、胃の辺りがじわじわと痛んできたような気がする。少しでもそれを和らげようと、マリー様に繋がれていない方の手で胃の辺りをさする。
 そして出来ることならその原因を遠ざけていただけないか、と遠回しに告げてみる。

「あの、マリー様。今日のところは馬小屋か何かを貸していただければ……」
 客人扱いしてくれなくても構わないので~作戦である。
 リアゴールド家の馬達には悪いが、私の胃痛からの脱却のために一部場所を間借りさせていただこう。
 そう決心するものの、マリー様はうんと頷いてはくれない。

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