アイヴィーの花冠 ~シスコンと恋愛を拗らせた私はこの度、好きな人の屋敷でメイドとして働くことになりました~
 考え始めてみれば意外と色々と思いつくものである。


 なにも恋をすることが、結婚をすることだけが生き甲斐になるわけではない。
 人生の折り返し地点にも立っていないのだ。


 私の可能性は無限大だ!


「昨日はごめんなさい」
「はい」
 形式的なディートリッヒ様への謝罪と共に頭を下げる。
 やはりディートリッヒ様は全く気にしていなかったらしく、眉一つとして動くことはない。まさか一言で完結するとは思わなかったが、これはマリー様とのつき合いが長いからだろう。
 帰ってこなくてもいいという意味だったら……転職先でも考えることにしよう。今からでも遅くはない。シンドラー王子に頭を下げながら、もとい脅して次の就職先を斡旋してもらう。王族御用達の店とか、そんなレベルの高い職場を頼まなければいけるはずだ。いや、なんとしてもねじ込んでもらう。

 過去の出来事と約束を振りかざしてでも。
 けれど恋と結婚を諦めた女の強さを披露することはなさそうだ。

「馬車は用意してあるから、アイヴィーは屋敷に戻っていてくれ。今日は休みでいい」
「かしこまりました」

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