アイヴィーの花冠 ~シスコンと恋愛を拗らせた私はこの度、好きな人の屋敷でメイドとして働くことになりました~
 私が帰ってくることを想定していてくれたらしいディートリッヒ様の好意に甘えて、馬車に乗り込む。
 見送りに来てくれたマリー様は私とディートリッヒ様の間を視線でいったりきたりを繰り返しては、ふふふと笑っている。
 別に何もないのだけど。
 マリー様には分かる変化があるのかしら。
 メイドとして、失くしたら惜しい人材であったとでも思われていたら嬉しいなぁ。


「それでは失礼いたします」
 城に残る三人に深く頭を下げて、職場兼住居であるアッシュ家へ向かう馬車へと乗り込んだ。
 昨日とは同じ馬車だが、今日は一人。背筋をピンと伸ばし、まっすぐと前を見据えて到着を待った。

 アッシュ屋敷へと到着し、真っ先に向かったのはベルモットさんの元。
 ディートリッヒ様から話は聞いていただろうが、買い物に行ったっきりまる一日近く帰ってこなかったのだ。私からも説明しなければならないだろう。

「ベルモットさん、大変ご迷惑をおかけしました」
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