政略結婚ですが、クールな旦那様の溺愛が始まりました
昨夜、すみれの全身は汗塗れだった。どちらのものかわからない体液も、下肢を中心にあちこちについていた気がする。


ただ渇いただけというには、あまりにもすっきりとしすぎている。すみれは今まで眠っていたのだから、誰が身を綺麗にしてくれたのかは考えるまでもない。


しかも、白い肌の至るところに赤い痕がついていた。知識でしか知らなかったキスマークに、妙な生々しさを感じてしまう。


慧とのキスに、舌を搦め取られたこと。全身をくまなく愛撫され、何度も果てさせられて……。最後には、彼のことも受け入れた。


甘く激しい情事に、ずっと翻弄されていた。あまりにも刺激的すぎて、きっと一生忘れられないだろうと思うくらいだ。


そんな突然のことに戸惑いが消えない反面、喜びもある。
だって、女性として、妻として見てもらえた――ということだと思うから。


結婚式の誓いのキスは頬で、それ以降はキスひとつなかった。手だって、まともに繋いだ記憶はない。腕を組んだのは、エスコートのため。


これまでは、ずっとそうだった。けれど、あの日はキスもセックスもしたのだ。
もっとも、愛し合ったわけではなく、美弥との会話を聞かれたから……だけれど。


六条は多額の融資を受けているというのに、『離婚』というワードを出したのだ。慧が不快に思わないはずがない。


話を聞かれていない可能性に賭けたが、そんなことはなかったのだろう。『離婚したいのか?』と口にした彼の言動から、それはもうわかっていた。
そして、未だに誤解されていることも……。

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