政略結婚ですが、クールな旦那様の溺愛が始まりました
「俺じゃダメかな……」
「えっ?」
「俺なら、すみれちゃんを不安にさせないし、大切にする。だって、ずっと好きだったから」


突然の告白に、すみれは呆然としてしまう。ただ、彼の表情も声音も真剣で、冗談や嘘ではないのはすぐにわかった。


「ごめんなさい。真ちゃんのことはそんな風に見れない。結婚してなくても、お受けできなかったと思う」


らしくなくきっぱりと言い切ったのは、誠意を返すべきだと思ったからである。


「うん、わかってた。でも、伝えたかったんだ。もしすみれちゃんがつらいなら助けたいから、俺はいつだって味方だってことを知っておいてほしかったんだ」
「……ありがとう」


そう言うだけで精一杯だった。首を横に振った真輔に、千円札を差し出す。


「私、もう行くね」
「お金はいいよ。すみれちゃん、まだなにも食べてないし」
「ううん、そんなわけにはいかないよ」


なんとなくだが、きちん線引きをしておくべきだと思う。そんな気持ちからテーブルにお金を置き、早々に立ち上がった。


「困ったことがあったらいつでも連絡して。俺たちは幼なじみみたいなものだしさ」


笑顔を見せた彼に、すみれは少しだけ困惑した。
すみれにとって、真輔は幼なじみと言えるほど近しい人間ではない。昔はともかく、今はもう自分たちは連絡も取っていないのだから。


しかし、彼の厚意は無下にできず、すみれは笑顔でお礼を言ってひとりで店を出た。

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