政略結婚ですが、クールな旦那様の溺愛が始まりました
「でも、迷わずにお断りしました」
「当然だ。すみれは俺と結婚してる。たとえ、政略結婚でも他の男と付き合うようなことは――」
「違います」
きっぱりと慧の言葉を遮ると、彼が眉をひそめた。すみれの否定に怪訝な顔をした慧には、まだ意味が伝わっていないのだろう。
もうすれ違いたくない。彼とは、好きな人とだけは……。
「私が断ったのはそういう理由じゃありません。私が好きなのは……慧さんだからです」
一瞬、沈黙が降りる。
「えっ……」
そうして、慧が小さな声を漏らした。
「ずっと……ずっと好きでした。パーティーの夜に助けていただいたときから……。婚約者候補として慧さんが現れたとき、驚いたけどすごく嬉しかったんです。たとえ政略結婚でも、私は慧さんがよかった……。だから、父にもお願いしました」
彼が瞠目し、言葉を失っている。想いがバレていなくてホッとした反面、予想外だと言わんばかりの表情には少しだけ虚しくなった。
けれど、隠し続けていたのは自分自身だ。もう誤解されないためにも、洗いざらい本音を打ち明けてしまいたかった。
「でも、慧さんが欲しいのは六条の名前だとわかってます。最初から御門と六条が釣り合わないのもわかってましたが、花崎さんとの話を聞いてからは身の程をわきまえるつもりでした。でも、また慧さんとの距離が遠くなるくらいなら――」
「待ってくれ。誠二との話ってなんのことだ?」
「それは……婚約披露パーティーの日に、おふたりが話しているのを偶然聞いてしまって……」
すみれがそれだけ言うと、慧は思い出したのだろう。ハッとした様子のあとで、肩を落として息を深く吐いた。
「当然だ。すみれは俺と結婚してる。たとえ、政略結婚でも他の男と付き合うようなことは――」
「違います」
きっぱりと慧の言葉を遮ると、彼が眉をひそめた。すみれの否定に怪訝な顔をした慧には、まだ意味が伝わっていないのだろう。
もうすれ違いたくない。彼とは、好きな人とだけは……。
「私が断ったのはそういう理由じゃありません。私が好きなのは……慧さんだからです」
一瞬、沈黙が降りる。
「えっ……」
そうして、慧が小さな声を漏らした。
「ずっと……ずっと好きでした。パーティーの夜に助けていただいたときから……。婚約者候補として慧さんが現れたとき、驚いたけどすごく嬉しかったんです。たとえ政略結婚でも、私は慧さんがよかった……。だから、父にもお願いしました」
彼が瞠目し、言葉を失っている。想いがバレていなくてホッとした反面、予想外だと言わんばかりの表情には少しだけ虚しくなった。
けれど、隠し続けていたのは自分自身だ。もう誤解されないためにも、洗いざらい本音を打ち明けてしまいたかった。
「でも、慧さんが欲しいのは六条の名前だとわかってます。最初から御門と六条が釣り合わないのもわかってましたが、花崎さんとの話を聞いてからは身の程をわきまえるつもりでした。でも、また慧さんとの距離が遠くなるくらいなら――」
「待ってくれ。誠二との話ってなんのことだ?」
「それは……婚約披露パーティーの日に、おふたりが話しているのを偶然聞いてしまって……」
すみれがそれだけ言うと、慧は思い出したのだろう。ハッとした様子のあとで、肩を落として息を深く吐いた。