政略結婚ですが、クールな旦那様の溺愛が始まりました
「会見後にわざわざ俺を捕まえて、どうでもいいことばかり訊いてくるところは変わらなかった。ああいうのが嫌だから、あまりメディアと関わりたくないんだ」
「どうでもいいことって?」
「結婚生活とか、子どものこととか色々訊かれたよ。とにかくネタになることが欲しいんだろ。芸能人じゃあるまいし、いちいち相手にしていられないっていうのに」


顔を上げた慧は、よほど不快だったようで眉をひそめる。もう一度吐かれたため息は、さきほどよりも大きかった。


「ご飯とお風呂を済ませたら、ゆっくり休んでください。今日は慧さんの好きなオムライスですよ」


すみれが明るい笑顔を見せると、彼の表情が和らぐ。「そうか」と言った声は、少しだけ弾んでいるようだった。


仲が深まっていくにつれ、慧の好物を知っていった。彼は、ハンバーグやオムライスといった子どもが好きそうなメニューを好む。


リクエストを訊くと、たびたび『オムライス』という答えが返ってくる。ちなみに、ハンバーグは定番のデミグラスソースが好きらしい。


慧の好物を知ったとき、あまりにも可愛く思えて密かに悶えたのは秘密だ。好物を前にした彼の顔つきが、どこか少年っぽくなることも。


「でも、オムライスだけだと足りないな」
「スープとサラダもありますけど、もう少しなにか作りましょうか?」
「そうじゃない」


慧がクスッと笑い、すみれの唇を奪う。


「俺を一番癒やせるのは、すみれだよ。だから、今夜は一緒にお風呂に入って」


甘えてくる彼に、ドキドキさせられる。すみれが困っているのを見透かすような笑みが、なんとも色っぽい。

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