政略結婚ですが、クールな旦那様の溺愛が始まりました
「考える時間が欲しいだろ。二週間後に会おう」


彼の言葉を聞き終えるよりも先に、すみれはソファから立ち上がる。


「一応言っておくけど、旦那や父親に助けを求めようなんて考えないでね。まあ、あの父親ならたいして怖くもないけど」
言いたいことはあるはずなのに、思考が纏まらない。起こったばかりの状況を把握し切れていないのか、なにも言えそうになかった。
「時間を取らせて悪かったね。気をつけて」


いったい、どの口がそんなことを言うのか。すみれは口を開きかけたが、ぐちゃぐちゃの感情を押し込めて店を後にした。


急いで自宅に向かいながら、必死に頭の中を整理する。
慧には、相談できない。すみれが他言すれば、情報を流出させられる可能性があるからだ。


そもそも、真輔が他にどんな手を持っているのかもわからない。そうでなくても、すみれひとりでできることなどないに等しいだろう。


(御門と六条を守るためには、大人しく条件を飲むしかないんじゃ……)


考えたくはないが、最悪のシナリオが脳裏に過る。


彼が持っている情報が流出したら、六条は本当に終わるかもしれない。それだけならまだどうにかなるかもしれないが、御門だって無傷ではいられないだろう。


御門の力を持ってすれば、どうにかなるかもしれない。しかし、そうであれば真輔はこんな風にすみれに話を持ちかけてくるだろうか。
彼には確実な勝算があるからこそ、こうしてすみれに接触してきたのではないか。


疑問はひとつも解決しないまま、不安と恐怖ばかりが大きくなっていく。
自宅はすぐ目の前だというのに、すみれは一歩も動けなくなった。

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