政略結婚ですが、クールな旦那様の溺愛が始まりました
「私は、今の六条にそこまでの力があるとは思えない……。六条が持ち応えたのは御門のおかげだから、その力がなくなれば元に戻るだけだよ。それに、仮に私があなたを選んでも六条はあなたのものにはならないでしょう」
もう、名前は呼ばなかった。すみれにとって彼は知らない人も同然だったからだ。そして、ささやかな抵抗でもある。
「すみれちゃんにはそう見えるんだろうね」
真輔が、小バカにしたように鼻で笑う。けれど、すみれには本当にそう思えるのだ。
現に、六条商事は御門ホールディングスの力で再起し始めているだけ。六条商事の力だけでは、あのまま倒産に向かっていくだけだった。
しかも、まだ再起と言えるほどの業績が出ているわけではない。会見後、六条商事の株価は一時的に上昇したが、そのあとからはほぼ横ばいだ。
「世の中には古い名前に固執する人間もいるんだよ。うちみたいな比較的新しい会社を門前払いする相手でも、名前ひとつで態度が変わることもある。百歩譲って、六条商事が手に入らなくても名前だけでもいいくらいには、うちには価値があるんだよ」
すみれには、やっぱり理解できない。
婚約披露パーティーでの慧と誠二の会話に関する誤解は、もう解けている。御門にとって、六条の名前は別に必要のないものだった……と。
ただ、真輔は違うのかもしれない。彼の言う通り、東海林製菓くらいの会社には利用価値があるのだろうか。
いずれにしても、首を縦に振ることはできない。すみれがそう思ったとき、真輔の手がすみれの手の甲に触れた。
「ああ、心配しないで。すみれちゃんが俺を選ぶなら、ちゃんと大事にするよ」
その瞬間、嫌悪感が走った。咄嗟に手を引き、彼を睨んでしまう。
反して、真輔は気に留める様子もない。見下すような笑みを浮かべると、ノートパソコンを閉じた。
もう、名前は呼ばなかった。すみれにとって彼は知らない人も同然だったからだ。そして、ささやかな抵抗でもある。
「すみれちゃんにはそう見えるんだろうね」
真輔が、小バカにしたように鼻で笑う。けれど、すみれには本当にそう思えるのだ。
現に、六条商事は御門ホールディングスの力で再起し始めているだけ。六条商事の力だけでは、あのまま倒産に向かっていくだけだった。
しかも、まだ再起と言えるほどの業績が出ているわけではない。会見後、六条商事の株価は一時的に上昇したが、そのあとからはほぼ横ばいだ。
「世の中には古い名前に固執する人間もいるんだよ。うちみたいな比較的新しい会社を門前払いする相手でも、名前ひとつで態度が変わることもある。百歩譲って、六条商事が手に入らなくても名前だけでもいいくらいには、うちには価値があるんだよ」
すみれには、やっぱり理解できない。
婚約披露パーティーでの慧と誠二の会話に関する誤解は、もう解けている。御門にとって、六条の名前は別に必要のないものだった……と。
ただ、真輔は違うのかもしれない。彼の言う通り、東海林製菓くらいの会社には利用価値があるのだろうか。
いずれにしても、首を縦に振ることはできない。すみれがそう思ったとき、真輔の手がすみれの手の甲に触れた。
「ああ、心配しないで。すみれちゃんが俺を選ぶなら、ちゃんと大事にするよ」
その瞬間、嫌悪感が走った。咄嗟に手を引き、彼を睨んでしまう。
反して、真輔は気に留める様子もない。見下すような笑みを浮かべると、ノートパソコンを閉じた。