政略結婚ですが、クールな旦那様の溺愛が始まりました

三 甘いお仕置き

話が終わると、慧は苛立ちを抑えるようにため息をついた。


「まさかすみれにそんな形で接触するとは……」


彼が眉をひそめ、静かに息を吐く。


「俺の落ち度だ……。もっと警戒しておくべきだった」
「そんな……。慧さんだって、東海林がこんなことするとは思ってなかったでしょうし」


すみれは、もう真輔のことを名前ですら呼ばなかった。本当なら、口にするのも嫌なくらいだ。


「いや、あいつだって犯人の可能性は充分にあったんだ」
「犯人?」


すみれが慧の言い方に違和感を覚え、首を傾げる。


「社内のことだから言えなかったが、うちと六条にスパイがいることはわかってた。以前から誠二に調べさせていたんだ」


彼はそう言うと、順を追って説明していく。


誠二が雇ったホワイトハッカーが、情報を流している人物を突き止めたこと。しかし、誰が首謀者なのかがわからず、今も社内で監視しつつ泳がせていること。


「警察にも協力を仰いで、ずっと内々に調べてる。でも、相手もそこまでバカじゃないんだろう。連絡を取るときは海外のサーバをいくつも経由してるようで、どうしても途中までしか追跡できなかった」


慧の話では、警視庁も捜査しているのだとか。御門ほどの権力があれば、警察をすぐに動かす力があってもおかしくはない。


「しばらく手詰まりで、誠二とも策を練っていたところだったんだ。ここ最近のトラブルは、主にこの件で動いてたせいだ。だが、今の話で確信した。十中八九、首謀者は東海林だろう」


まさか、慧がこの件に関して調べているとは思わなかった。彼とすみれは、それぞれスパイ側と首謀者側に接触していたことになる。

< 178 / 204 >

この作品をシェア

pagetop