政略結婚ですが、クールな旦那様の溺愛が始まりました
「こんなことなら、私がもっと早くに話していれば……。ごめんなさい……」
「言えないのは当然だ。相手が証拠を持ってる上に脅されていたんだから。すみれの立場なら、どうすればいいのかわからないに決まっている」


慧はそう言ってくれたが、すみれは自身の行動を顧みて悔いた。今回の件を彼に伝える術やタイミングは、きっとあったはずだ……と。


真輔に脅され、自分が思っている以上に冷静ではなかったのだろう。情報を流出させられる不安に駆られ、今の今までこんなことにも気づけなかった。


「でも、私の話だけでは証拠になりませんよね……」
「いや、そうでもない。スパイ側から調べるのは難しくても、東海林側から調べれば必ずなにかが出るはずだ。ゴールがわかっていれば、手立てが増えるからな」


慧はきっぱりと言い切ったあと、「先に電話をさせて」と断りを入れた。すみれが頷くと、彼がすぐさまスマホを取り出して電話をかけた。


「俺だ。悪いが、頼みたいことがある」


そう切り出した慧が、スマホを耳から離してスピーカーにする。


『なにかありましたか?』


電話口からは、すぐに誠二の声が聞こえてきた。


「すみれが東海林真輔に脅されてた」
『……すみれさんが?』


誠二は怪訝そうな声だったが、慧が『ああ』と答えると空気がピリついた。


『それで? 脅されたとは?』
「どの程度のものかはわからないが、東海林は『御門と六条の機密情報が入ってる』と言って、すみれにUSBのデータを見せたらしい。すみれは、六条のデータの一部に見覚えがあったそうだ」
『つまり、ネズミの親玉は東海林真輔だと?』
「恐らくな」


慧が言い切ると、誠二が不快そうにハッと笑った。

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