政略結婚ですが、クールな旦那様の溺愛が始まりました
「慧さんのリクエストがオムライスとハンバーグだったので、せっかくだからお子様ランチっぽくしてみたんです。慧さん、『お子様ランチを食べたことがない』って言ってたでしょう?」
「言った気はするが……そんなこと、よく覚えてたな」
「慧さんのことですから」


すみれが、どこか得意げにふふっと笑う。その笑顔があまりにも可愛くて、一生懸命考えて作ってくれたことが嬉しくて、彼女を抱き寄せてキスをした。


「ありがとう。全部うまそうだ」
「出来立てですから、冷めないうちに食べましょう」


テーブルを囲み、シャンパンで乾杯をする。


「改めて、お誕生日おめでとうございます」
「ありがとう」


すみれに祝ってもらうのは、二度目だ。日付が変わった直後、彼女は慧に抱かれながら同じ言葉をくれた。


柔らかな幸福感で、心が満たされていく。自分の誕生日なんて興味はなかったのに、愛する人と過ごせるとこんなにも違うのか……と三十三歳にして知った。


料理はどれもおいしく、ケーキまで手作りだった。フルーツがふんだんに載せられたデコレーションケーキは、売り物かと思ったほどだ。


すみれいわく、料理教室に通っていたときに覚えたのだという。このクオリティのものを作るのは、大変だっただろう。


けれど、彼女はちっともそんなことは口にしない。慧が食べている間、ずっと嬉しそうにニコニコしていた。


食後には、初めてすみれからお風呂に誘われた。
恥じらいながら、『一緒に入りませんか?』と上目遣いで言われたのだ。あの瞬間、理性を飛ばさなかった自分自身を褒め称えたい。


もっとも、バスルームでもベッドでも彼女を存分に堪能したけれど。
何度も昇り詰めたすみれは、慧の腕の中で今にも眠ってしまいそうだった。


「このまま眠っていいよ」


うつらうつらしていた彼女が、重そうな瞼を下ろしていく。


「あっ……!」


その直後、すみれが飛び起きた。

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