政略結婚ですが、クールな旦那様の溺愛が始まりました
「すみれ? どうした?」


驚いた慧は、何事かと思う。彼女はベッドから下りようとしたが、どうやら力が入らないらしい。


「慧さん、すみません……。私の部屋のドレッサーのところに紙袋があるので、取ってきてもらえませんか?」
「わかった」


バスローブを纏ってすみれの部屋に行き、紙袋を手に取る。その際、中がチラッと見え、リボンがかけられた箱が入っていることに気づいた。


(そういうことか……。いらないと言ったのにな)


申し訳ないような、それでいて嬉しいような。複雑な気持ちの中で喜びが勝り、彼女のことがますます愛おしくなる。


部屋に戻ると、すみれが申し訳なさそうにした。


「本人に取ってきてもらっておいてあれなんですけど……慧さんへのお誕生日プレゼントなんです。気に入ってもらえるかわかりませんが……」
「ありがとう。見てもいい?」


頷いた彼女にキスをし、リボンを解いて箱を開ける。中に入っていたのは、慧が愛用しているスーツブランドのネクタイだった。


「いいデザインだな」
「仕事中に使ってもらえるものがいいな、と思って。でも、私のお給料だとこれが精一杯で……」
「嬉しいよ。明日から毎日つける。すみれがプレゼントしてくれたネクタイなら仕事も上手くいきそうだ」
「そんなご利益があればいいんですけど」
「きっとあるよ」


微笑み合い、幸せを噛みしめるようにすみれの唇にキスをする。生まれて初めて甘い時間を過ごした誕生日は、静かに過ぎていった

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