政略結婚ですが、クールな旦那様の溺愛が始まりました
触れていた唇が離れ、また重ねられる。彼は、微かに開いていたすみれの唇の隙間から、自身の舌を差し込んできた。
温かい塊が入ってきたことに驚いたすみれは、舌を引っ込めようとしてしまう。


けれど、一瞬早く舌を捕らえられた。


「んっ……!」


舌先をくすぐられ、側面をゆっくりとなぞられていく。そのまま、表面や裏側もくまなくねぶられた。


初めて知る感覚に、すみれの背筋がゾクゾクと粟立つ。
まるで、すみれの舌の形を無遠慮に確かめるようなキスだった。それでいて、どこか優しくもある。


戸惑いはどんどん大きくなるのに、慧のことは拒絶できない。
すみれにとって、彼はずっと好きだった人。


たとえ形だけであっても、慧の妻になれたことが嬉しくて……。けれど、肌に触れられもしないまま今日まで来た。


それが一転、今はベッドに組み敷かれている。目の前にある現実がまやかしであっても、ようやく夫婦らしくなれるかもしれない……と喜びが芽生えたのだ。


彼の心は手に入らなくても、女性として見てもらえていることに心が震えた。


そんなすみれの気持ちを余所に、キスは深くなっていく。


唇をやんわりと食まれ、ときおり舐められて。またすみれの口腔に戻ってきた舌が、無遠慮に動き回る。
上顎を撫で、舌を捏ねるように搦め取られた。


「ふっ……ッ……!」


慧のキスに翻弄されていたすみれが、不意に肩を大きく跳ねさせる。彼の左手がすみれのブラウスの中に入ってきたからだ。


骨ばった手にルームウェアも捲られ、すみれの身体が硬くなる。慧は、ためらいもなくすみれの素肌に触れた。


「っ……」


冷たい手の感覚に、すみれの全身が反射的に跳ねる。

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